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アルス・ノヴァ出張カットの日

出張カット―それはたけし文化センターに浜松の美容院さんが出張で来てくれ、アルス・ノヴァのメンバーの髪を切ってくれる日です。

遡ること2021年ごろのある日、スタッフのひとりがオシャレ雑誌を持ってきて、「みんなどんな髪型が似合うと思う?」と。しばしスタッフであぁだこうだと言いあったり、いろんな髪型の画像を出したりした記憶があります。

いつもの髪型もいいけれど、家庭で散髪に連れて行き髪を切るのも一苦労、みたいな場合もあったり、本人の過ごしやすさなどでアルスでは男性は坊主が多いのも事実。そもそも本人たちはどんな髪型がいいと思っているの…!?

と、まぁ関係する人々が「こんな髪型が似合うんじゃない?」とか、「人生でちょっと意外な髪型にチャレンジしてみやした…!」という機会があってもいいはず。…というわけで美容室の方に頼んで、定期的に希望があるメンバーの散髪をアルス・ノヴァで行っています。

今流行りのツーブロックのあの人やこの人を見ることになるなんて…と新鮮〜!な場面も。

そんな出張カットも根付いてきたある時、カットメンバーの1人、アルス・ノヴァのロックボーカリスト兼コーヒー屋の大ちゃんが車椅子ですす…とわたしに近づいてきて、「僕さぁ、前髪伸ばして亮介さん(スタッフ)みたいになりたいんよね…」とボソリ。強い意志はあるけれど、照れ屋で引っ込み思案なとこもありそんなに自分の気持ちをはっきり口にしない大ちゃんが!そんな気持ちがあったなんて!となんだかビックリ&ホッコリしました。髪質とかだいぶ違う気するが…なんてことは理想の前には投げ捨てて、「次はガルボさん(美容室)にそれ言おうよ!」と盛り上がり、スタッフ・亮介さんもなんだか照れくさそうに、いい感じのヘアオイルを塗ってあげてました。ご満悦の大ちゃん。今も「もっと髪を伸ばす!」と息巻いています。

自分が当たり前のように行っている散髪という行為も生きる上での「選択」のひとつ。障害の、特に重度知的の人々はそんなみんなが当たり前のようにしてる選択やその多様さが難しいことが多々あります。どんな髪型にするか?今晩のおかずは?どんな服を着たいか?

坊主がいいのかツーブロがいいのか、彼らは言葉を発しないので結局のところは分かりません。

しかし、アルス・ノヴァ、そしてレッツは、様々な事情で狭まってしまいがちな彼らの選択肢をなんかひとつでも増やすような、そして本人も含め周囲の様々な人々によって彼らについて話し合えるような活動を日々行なっている、いれたらいいなぁとわたしは思っています。

なんか真面目になっちゃいましたが、散髪した後のみんなの写真を見てたら「いい顔してるな〜」と思い、ここに記しました。(ふきこ)

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