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「表現未満、」を編む アサダワタル(文化活動家)

表現は一人で行うものなんでしょうか?表現とは意図的な内面の表出なんでしょうか?そもそも生活と表現となにが違うんでしょうか? 
「住み開き」、「 表現のたね 」 などの著書を手がけ、「千住タウンレーベル」などのアートプロジェクトも行うアサダさん は、身近にある行為・活動を編み直して、新しい表現とその 可能性を実験・模索しています。そんなアサダさんに「表現」 の意味をもみほぐしてもらう2時間です。

テーマ:「表現未満、」を編む
ゲスト:アサダワタルさん(文化活動家)
日時:2019年11月30日(土) 18:30~20:30
参加:無料 (カンパ制)
場所:たけし文化センター連尺町

アサダワタルさん

アサダワタル(文化活動家) 1979年生まれ。音楽を軸にした表現で、福祉施設や復興現場、学校や街中などで参加型のアートプロジェクトを各地で実践。2019年より品川区立障害児者総合支援施設でコミュニティ・アートディレクター(社会福祉法人愛成会所属)としても活動。著書に『住み開き 家から始めるコミュニティ』(筑摩書房)、『想起の音楽 表現・記憶・コミュニティ』(水曜社)、『アール・ブリュット アート 日本』(編著、平凡社)など。東京大学大学院、京都精華大学非常勤講師、博士(学術)。

レポート: 表現は一人で行うものなのか?表現とは意図的な内面の表出なのか?そもそも生活と表現となにが違うのか?

アサダワタルさんをゲストに迎えて、「手さぐりの表現未満、」vol.4「表現未満、を編む」が開催されました。ホストのスタッフ水越は、アルス・ノヴァのメンバーにとっては普通の習慣でしかないことが、見る側によって「表現行為」とされることへの違和感から、「表現する人と受ける人という関係」や「表現の意味をもみほぐすこと」をテーマに取り上げます。アサダさんの活動を題材に進められたトークの断片を報告します。

生産と消費の「間」にある「固有なもの」

誰かから借りたけど、返せなくなった「借りパク」CDを集めて、ギャラリー展示とトークイベントなどとともに開催した「KPPL(借りパクプレイリスト)」。大量に作られているCDに、個人的なエピソードをつけることで浮かび上がってくる、固有な存在としての聴き手。「生産/消費」や「演奏/聴くこと」との「間」にあるものについて、語られました。

「コピーバンド・プレゼントバンド」のプロジェクトは、高知県四万十市の学校で、アンケートを取って選んだ親の好きな曲を子どもたちが演奏するというもの。「新しい音楽体験」といったイメージと反するコピーバンドならではの、「借り物に乗っかってやるという、創作や生産と消費の間だからできる個性の分かち合い」について語られました。

そのほか、自宅をコミュニティースペースにして住む場所を開く知恵を学ぶ「住み開きアートプロジェクト」や、思い出話をもとに独自に校歌のカラオケ動画を作るカラオケスナックのママの活動を取材した話、増補版が近日発売というアサダさんの著書『表現のたね』から、よく分からないような、けれども「まさに表現」とも感じられるようなエピソードの紹介がありました。

フロアとのディスカッションでは、世の中で表現と呼んで固めているものではなく、枠から外れて何かを生み出そうとしているようなものこそ表現らしく、「表現のたねって自分にとっては表現でしかない」という言葉や、表現と呼ばれるものが見出される過程で「誰かと組んだ関係のなかで何かが出てくる。そこにコミュニティーが、可能性がある」という言葉がありました。

関係性のなかで編まれるものとしての「表現」が見えるトークを動画からぜひご覧ください。

(報告:佐藤航也)

配信動画はこちらから視聴できます




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