
2025年4月ツアー 感想のようなもの
今回は、お互いに初対面である四名の旅人にお越しいただいた(うち三人が初参加、一人は二回目の参加)。
たけし文化センターに全員が到着したのち、ガイダンスと称してわたしが色々喋ってしまった。喋っている間に、二階では啓太くんのボーカルと曽布川さんのドラムによる熱いセッションが繰り広げられていたのだが、わたしは気がつかなかった。自分の言葉を参加者に伝えることに気を取られていたからだ。ガイダンスを終え、セッションを期待して二階に上がると、すでにやるだけやって満足げに疲弊した啓太さんが寝ようとしていた。もうこのツアーの間に彼らのセッションが行われることは無かった。わたしの言葉なんかより、もっと豊かなものが受け取られただろうに、旅人たちにはたいへん申し訳ないことをした。
何か言葉にしようとすればするほど、伝えたかったものが遠のいていく気がした。話す時間はあったはずなのに、ほとんど何も話せていない気がした。しかし我々は、もっと能天気にいてよいのだとも思った。わたしの拙い言葉とか、そもそも言葉ではない何かとか、彼らが過ごした時間とか、わたしたちが共有した何かを、それぞれが、それぞれに、静かに受け止め、あるいは受け流していたように思う。
整えられた綺麗で分かりやすい言葉より、カタチにならない湧き上がってくる言葉を聴きたいと思う。カタチにならない湧き上がってくる言葉を聴こうとすることは、己の声を聴こうとすることだ。己の声を聴こうとしていた旅人のみなさんと、わたしもなんだか心地よい時間を過ごした。ありがとうございました!(塚本千花)



