ツアー参加者の感想 vol.03 - 特定非営利法人 クリエイティブサポートレッツ
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ツアー参加者の感想 vol.03

ツアー参加者の感想 vol.03

第2回参加 Mさんより

 私は知的障害者に対して、「自由な人たち」というイメージを持っていた。自信がなく、自由に生きることをセーブしてしまう自分から見て羨ましいと感じる存在だった。なにか、自分らしく生きるためのヒントを得られるかもしれないと思い100時間ツアーに参加した。「学生のうちになにか自分の価値観を揺さぶられるような体験をしてみたい」という恐いもの見たさ的な理由もあった。

 アルス・のヴァに滞在してみて、普通の生活では味わえないほどの親しみやすさや安心感を持つ利用者さんにたくさん出会った。アルス・のヴァで過ごした4日間は、体力的には疲れたが、精神的には楽だった。知的障害を持つ利用者さんや、彼らとともに過ごすスタッフの方々と一緒の空間にいることが、心地よかった。

 昔から私は変わり者の割に小心者で、私の言動が人をポカーンとさせたり、怒らせたり、距離を取られることにつながったりすることに、コンプレックスを感じていた。しかし、アルス・のヴァの利用者さんは人がどう反応するか、どう思うかという私の最大の関心ごとには全く興味が無く、ただただ自分のやりたいことしかやらない。寝たかったら寝るし、声を出したかったらうるさいなんて気にせず出す。話しかけても興味が無かったら返事をしないし、逆にこちらの反応なんておかまいなしにくっついて来る人もいる。何もやることがなく、ただアルス・のヴァに放り出されるというツアーのプランに最初は困ったが、とりあえず利用者の皆さんのまねをして自分のやりたいこと(らくがき、お皿洗い、誰かに話しかける、など)を“気の向くまま“を意識して行うことから始めてみた。そうしていると、だんだんと、自分の動きたいように手足を動かすのと同じように、自分のやりたいことや言いたいことを自然と行えるようになった。それがとても心地よかった。人生で一番しあわせなことは人からの評価よりもまず、やりたいことをやることだと思えた。

 私は、アルス・のヴァを訪れて、「やりたいことを周りの目を気にせずにやる」ことを学んだ。そのことで、今まで心に抱えていたもやもや(本当の自分が分からない、不満が多い、不機嫌、自分の本当にしたいことがわからない・・・など)が少し片づけられて、ありのままで生きる準備ができたように思う。

 4日間、自分のしあわせや快楽のためにひたすら我が道をゆくアルス・のヴァの利用者の皆さんや、それぞれに独自のペースがあるスタッフを見ていて、生きていてよかった〜と思えるしあわせな瞬間はありのままの自分をさらけ出してはじめて手に入るものだと感じた。

 そして、さいごに、「自分の息子のために社会が変わって欲しい」と、重度の知的障害を持つたけしくんがありのままで社会と関わる方法を考え、無ければ作り出していく久保田翠さんに感銘を受けた。実際に子育てを経験したことが無く、理想または反面教師の親像ばかりがある今だから思うのかもしれない。今回のツアーで、自分が親になったら子どもも自分も自分全開、ありのままで生きることをいつも忘れずにいる、という目標ができた。