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メールニュース編集後記

毎月、メールニュースをつくるたびに葛藤がある。

レッツのメールニュースは、多岐に渡る活動、拠点の情報、日々の様子その他の諸々を、ぎゅっとひとつにまとめたものである。”まとめたもの”は曲者である。ひとつひとつをひも解くと、色んな背景や想いがあってそうなっているのだけれど、それらはまとめてしまうと見えてこない。まとめられることで、それが「ある意志を持ったひとつ」であるような顔をしてしまう。

公に向けて、短い言葉で何かを説明しようとすると、どうしても華やかというか派手というか、なにかポップな側面ばかりが浮かび上がる。編集する人間の力不足でもあると思うけれど、もっと「そうじゃないんだあ~」という、正面から見たら富士山なんだけど実はこっちから見たら永沢くんの頭なんです~みたいな、永沢君の頭をあたかも富士山かのように発信している自分がいることに、勝手に業の深さを感じている(べつに永沢君は魅力的な人物であると思う)。

一方で、わたしはメールニュースに掲載する写真を、毎月とても楽しんで選んでいる。写真はすべて、スタッフが日々撮影して、内部で共有されているものからチョイスしている。なにがどうしてそうなったのか分からない場面、一瞬のきらめき、写真の向こうにいるひとのこと、写真を撮ったそのひとのこと。

写真を載せるコーナーがあって、その限られた枠に載せるなら、これがいいなあ、という気持ちで選んでいる。載せたい写真がいっぱいあるものだから、実は初期の頃に比べて、写真の量も増えている。受け取る側の方には、容量が重くなってしまってすみません。今後は他のスタッフにも写真を選んでもらいたいと思っている。

そういう写真から伝わるものは、やっぱり「楽しそうなレッツ/アルスノヴァ」という、華やかな側面だと思う。そのワンシーンが生まれる過程には、公にできないようなアレコレもあったかもしれない。けれど、どう伝わるかとか、なにかを見せたいとか、こういうことを伝えたいとか伝えたくないとか、あまり考えていない。単純に、わたしがその切り取られた一場面を「素敵だ」と思うから、選んでいる。それ以上でも以下でもない(ただし、素敵だと思っても、さすがに公にし難いような写真は掲載を控えている。そういう力が働くことも、華やかな側面を強調してしまうことに繋がるのだろう)。

だれかの表現を受け取るとき、相手が考えていることを100パーセントそのまんま、受け取ることなんかできない。そこにはどうしても、受け取るわたしの解釈が入り込む。よく、ひとに「前向きな話をしてるのに、塚本さんは何でもかんでもネガティブに受け取る傾向がある」と言われる。その通りである(かなしい)。意識的に、あるいは無意識に、わたしはわたしの受け取りたいように、世界を解釈している。

相手がどう受け取るかは、もう、相手にゆだねるしかない。わたしとあなたは、完全に同じ世界を見ることはできない。その歪みが、人間らしさであるのかもしれない。だからむなしくもあるし、愛おしくもある。このメールニュースを通じて見えるレッツの姿が、あるひとにとっては富士山で、あるひとにとっては永沢君でも、どっちもほんとうなのだろう。それでも、だから、もっと違う伝え方があるんじゃないか。もっと違う受け取り方があるんじゃないか。わたしは今日もしかめっ面しながら言葉を書いて、笑いながら写真を選んでいる。

※メールニュースはこちらから。

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