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ドラマチック★かわちゃん

かわちゃんはドラマチックだ。誰かを喜ばせたい気持ちが強い彼は、積極的にお手伝いをしたり、プレゼントをしたりするのだが、時に、その気持ちが昇華できなくて、固まってしまうことがある。「固まる」というのは、文字通り動かなくなることを指すのだが、この固まりっぷりがなんとも見事で、ドラマチックなのである。

先日、事務所でパソコン仕事をしていたスタッフササキさんに、かわちゃんがそっと缶コーヒーを差し入れた。誠実なササキさんは、「もらえないよ~!」と言ってこれを断った。かわちゃんの大事なお金なんだから、自分に使うべきだよ、とコーヒーを返そうとするササキさんに、かわちゃんも最初のうちは「いいからいいから」と近所のおじさんのような、照れた笑みを浮かべてエヘエヘしていたが、そのうち、目をこすり始めて、あれ、もしかして泣いてる……?と思ったその次には、うずくまって動かなくなってしまった。そう、きっと彼の心は今、コーヒーを受け取ってもらえなかったという悲しさでいっぱいになってしまったのだ……。

こうして「固まった」かわちゃんに対するスタッフたちの反応は、実に様々である。自分から始めたんじゃないか……と冷静に突っ込むひともいれば、悲しかったね~と寄り添うひと、申し訳ないんだけども笑いが止まらないひと。当のササキさんは「顔をあげてくれ、かわちゃん!いや、こうなっては逆に失礼だよな、もらうよ!ありがとう!」と一生懸命語りかけていた。かわちゃんはその後、スタッフに付き添われ、しょんぼり肩を落として去っていった。事務所には、芝居がハケたあとの劇場のような余韻が残っていた。

かわちゃんは、自分で自分のテンションを上げていく節がある。「いいからいいから~」と気のいい様子でやってくるが、とくに相手に何も望まれていないと、そのうち「いいから!!いいいいから!!!」と、何事かを為さなければならない!!と彼の中の正義感が盛り上がっていく。そして、シチュエーションによって、喜怒哀楽を100%のエネルギーで表現する。あんまり一方的なので、相手は困惑するしかなく、見事な自作自演とも言えるのだが、その言動にはひとつも嘘がない。だから周囲もしっかり巻きこまれる。かわちゃんが「固まる」と、周囲のひとを巻き込んで、そこに本物の芝居が立ち現れる。彼はいつだって本気(マジ)なのだ。

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